直感で繋がる物理学
Vector Like の理念
- 「Vector」を「Like」になる場所
- 「Vector」「Like」な存在
ベクトルに代表されるような、物理にとって大事な概念を好きになるサイトでありたい。
抽象的でイメージのつかないとき、何から手をつければいいかわからないとき、理解や解釈の方向を示す矢印のようなサイトでありたい。
直感を大切に
さて、突然ですが1つクイズです。
下の動画では、青いボールが天井から、赤い風船が床から、それぞれひもでつながれた電車が右向きに急発進しています。
このとき、青いボールと赤い風船は電車の中でどんな動きをするでしょうか?
予想通りの動きでしたか?
風船の動きが意外だった方もいるかもしれません。
まじめに物理の言葉で説明するなら、電車が右向きに加速度運動をすることで、電車の中から見ると左向きに慣性力がはたらいて見えます。
「はたらいて見える」という言い方は、実際には力が存在するのではなく、電車の車体だけが右に加速し中身が取り残される状況が、電車の中に置かれたカメラの映像には、中身に力が働いて左向きに加速したように映るという意味です。
この慣性力と重力との合力として、見かけの重力が左下向きにはたらき、いつものように、「重力」にしたがってボールは左下に、「重力」に逆らう「浮力」によって風船は右上に傾くのです。
しかし、僕が大切にしたいのは、見かけの重力などを考える前に、ボールと風船の動きが頭に浮かぶ感覚です。
電車の中を満たしているものを水におきかえて想像してみよう、と言われるだけで、ボールと風船の動きが納得できるようになる人もいるかもしれません。
「Don't think. Feel.」の本当の意味
「Don't think. Feel.」という言葉、その前後や続きをご存じですか?
もとは,ブルース・リーが映画「燃えよドラゴン」の中で、弟子に武術を指導するシーンのセリフです。
リーは弟子の蹴りの型に対し、「We need emotional content. (内なる感覚を込めるんだ)」と説き、何度もやり直させます。
そして最後に、「何か感じたか?」と問い、弟子が考える様子を見せると、こう言います。
Don't think. Feel. It is like a finger pointing away to the moon. Don't concentrate on the finger or you will miss all that heavenly glory.-映画「燃えよドラゴン」より-
月を指さしても、その指先に注目していては、月の美しさを見逃してしまう。
だから、考えるのではなく、感じるんだ、とリーは言います。
そのとき見える表層の物事に囚われ、どうするべきかとその場で考えるのではなく、
日々積み重ねてきた経験や知識から、とっさに感じた答えを信じることが大切なのだと説いているのです。
世間では、
「考えても仕方ないから、当たって砕けろ」
といった意味で使われがちだけれども、
本来の意味はそうではなく、
「日々鍛え考え抜いてきた結果身についた感覚を信じなさい」
そんな意味だと僕は思うのです。
センスや直感は生まれながらに持っているものではなく、日々の経験や知識を反芻し続けた結果、抽出されて身に染みついた、本質への理解の表れだと僕は考えています。
このサイトが、物理学を学ぶ皆さんにとって、そんな感覚を養える場所になれば幸いです。